眠らない街、新宿。
僕は一人ネオン輝く街を背に帰路に着こうとしていた。
歩いているといろいろな誘惑が僕に語り掛ける。
いつもであればお姉ちゃんの声に耳を傾けフラフラと着いていくがその日は違った。
黄緑と白のラインの看板。誰もが知っているコンビニの前に旗が立っていた。
「ファミチキ新発売」
このファミチキとは今イチオシのサクサクとした食感とジューシーさが売りのスパイスの効いたチキンの事だ。
僕は猛烈に食べたくなった。
どうしても食べたい!
ファミチキに対する熱い想いを胸に僕は決断した。
あと二分後にファミチキを食べる!! と。
早速店内に入ると
レジには数人が並んでいた。
僕が並ぶと後方には
若いカップルが並んでいた。
ILOVEファミチキ!をスローガンに
僕の心は高鳴りを抑えきれないほどだった。
僕の後ろに並ぶ若いカップルの話し声を聞くまでは。
カップル
「前の人、超目ホソじゃね」
「マジうけんだけど」
「朝青龍じゃね」
とここまでは百歩譲っていいだろう。朝青龍さんと言われて光栄だ。
温厚なぼくはまだ我慢できた。
しかしある一言が
ぼくを怒らせたのだ。
カップル
「ってか目ホソ過ぎて絶対周り見えてないよね(笑)」
僕はカップルに言った。
僕
「おまえら大概にしとけよ、こらぁ~」
「いくら目ホソでも
何も見えてないわけないだろぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
カップル
「す、すすいません。」「勘弁してください」
その瞬間の店内は全員がぼくに注目していた。
ぼくはまるでアイドルになったような熱視線を感じていた。
きっと僕のファンになったはずだ。
そして僕はきちっと列に並び直し
店員に満面の笑みで
こう言った。
ファミチキ下さい!!(*^。^*)
と。
僕は一生忘れない
このファミチキの味を。
続く